導入事例

グリーンサイト導入で労務安全書類業務を変革

前田建設工業株式会社様:現場職員と協力会社の負荷を軽減

  • グリーンサイト
  • ペーパーレス
  • 業務効率化
  • 元請会社

前田建設工業株式会社

前田建設工業株式会社

  • 業界:総合建設
  • 従業員:1,001名~5,000名

前田建設工業は土木・建築事業といった請負分野に加えて、脱請負分野へと事業を拡大し、請負で培ったエンジニアリング力と脱請負のサービスを融合した「総合インフラサービス企業」を目指す会社です。建設現場における働き方改革の推進にも積極的で、2010年より労務安全書類(グリーンファイル)のデジタル化、現場職員・協力会社の業務負荷低減を目的として建設業向けクラウドサービス「建設サイト・シリーズ」の1つである安全書類作成サービス「グリーンサイト」を導入されました。現在は約300現場で活用していただいています。

今回は、建設現場の業務支援を行う内勤部門「工務センター」の西日本エリアを担当する、関西支店 建築部 建築施工グループ 工務チーム 神宿智帆様と、上長である浦島健様にお話を伺いました。

お話を伺った方:
関西支店 建築部 建築施工グループ 工務チーム チーム長 浦島健様(写真右)
関西支店 建築部 建築施工グループ 工務チーム 主査 神宿智帆様(同左)
(取材時期:2023年9月)

労務安全書類の管理業務に追われる施工現場

協力会社も大きな負担に

MCデータプラス(以下、「MCDP」):建設サイト・シリーズ導入前の現場の状況と課題を教えてください。

神宿様(以下、「神宿」):私は入社した2006年から2012年まで現場で施工管理業務を担当していました。当時は労務安全書類を紙で管理しており、協力会社には当社が用意した指定書式に必要事項を記入して提出してもらっていました。現場ごとに一次の協力会社だけで60~70社ほど関わっており、二次、三次以降を含めると全体で600社ほどの協力会社が関わることになります。それに加えて躯体工事から仕上げ工事へと協力会社が順次、入れ替わるため、その都度書類が提出され、私たち元請会社はその確認業務が発生します。協力会社ごとにファイルを作成し書類を管理していましたから、事務所には大量の書類が溢れていましたね。

特に、手間も時間もかかるのは更新情報の確認と管理作業でした。労務安全書類の確認業務は協力会社から最初に提出されたときだけではなくて、工事期間中も最新版として管理していく必要があります。加えて、建設業の許可や作業員名簿、作業員の健康診断の受診情報や社会保険の加入状況など、協力会社や作業員ごとに確認していかなくてはなりません。紙で管理していると、そのチェックが漏れやすく、修正を依頼しても即座に対応されないこともあるので、そのフォローも含めると大変な労力でした。

関西支店 建築部 建築施工グループ 工務チーム 神宿智帆主査
関西支店 建築部 建築施工グループ 工務チーム 神宿智帆主査

また、私たち元請会社以上に大変なのは協力会社の方かもしれません。複数の前田建設工業の現場で仕事をするのに、現場が違うだけで同じような書類を作成して、それぞれの現場に提出する必要があります。そして書類の記載内容に更新が発生するたびに協力会社は修正し、書類の差し替えのためにまたそれぞれの現場へ出向かなくてはいけません。関西エリアは範囲が広く、現場が遠く離れていることが多いため、移動にかかる時間も相当です。労務安全書類の紙による運用・管理は元請会社にとっても、協力会社にとっても、大きな負担になっていたと思います。

直感的に操作できシンプルで使いやすい

協力会社からのおすすめで試験導入開始

MCDP:建設サイト・シリーズを導入した決め手を教えてください。

浦島様(以下、「浦島」):グリーンサイトを知ったきっかけは、協力会社から「便利なツールがあるから、前田建設でも入れて欲しい」と教えてもらったことでした。前田建設工業としては、2010年ごろに東京建築支店で運用がスタートしていますが、関西支店では2014年ごろから導入を始めています。

サービス自体もシンプルで使いやすく、直感的に操作できるところも良いなと思いましたね。労務安全書類は現場運営を行う上で重要な書類であり、不測の事態が発生したときにも必要になるので、更新の漏れが低減できて、内勤部門も最新情報を共有できないかと考えていました。当時、支店ごとに安全に関する独自の帳票も多かったのですが、グリーンサイトにある添付機能を活用して、従来の独自帳票がそのまま利用できたのも大きいですね。

協力会社からは更新作業の負担が減ったという声も

情報の共有で現場職員の業務削減を実現

MCDP:建設サイト・シリーズ導入後の効果を教えてください。

神宿:グリーンサイトの導入によって、まずは協力会社の確認・更新に係る業務の削減効果が大きいのではないでしょうか。例えば建設業の許可証の更新であれば、事業者情報を更新すれば、提出済の作業所の情報にも自動的に反映されます。わざわざ現地へ足を運び、書類を差し替える必要はありません。実際に、更新作業が本当に楽になったという声を協力会社からいただくことも多いです。

元請会社の業務としては、許可証や社会保険の加入などの情報が一覧で可視化でき、チェック漏れが大幅に低減できていると感じます。ただ、現場の職員の労働時間については、紙の書類を電子化するだけでは時間短縮にはなかなかつながらないと思います。そこで、弊社の工務センター部門では現場に代わってチェックし、随時協力会社へ是正の依頼を協力会社へ送ると共に、作業所へ共有するという支援を行うことで現場職員の労働時間低減を図っています。現場の職員はチェックの時間も短縮されるとともに、どの協力会社の提出書類にどのような不備があるかを把握し、その情報は本支店の内勤部門でも共有することができます。

内勤部門と現場との情報共有画面
提出状況一覧表(不備のところがオレンジ表記)

運用のポイントは協力会社への丁寧な説明

MCDP:建設サイト・シリーズの運用で工夫されたことを教えてください。

神宿: まず、グリーンサイトの導入にあたっては協力会社への丁寧な説明がポイントだと思います。有料のサービスであることを懸念される方もいますが、書類作成の効率化や、情報の更新手間の削減効果と、初期設定料金を除けば実質1IDが月100円であることを説明すると、費用対効果のメリットの方が大きいことを理解してもらえます。(協力会社様向けの10IDプランの場合)また、支店をまたいで協力いただく協力会社の方も多いため、支店ごとに特色のあった帳票を統一化するきっかけとなりました。
どの支店のどの現場でも帳票が同じであることが、支店の垣根を越えて支援する私たちにとっても重要なポイントとなります。グリーンサイトの導入から運用方法については、工務センター部門から協力会社に操作説明や導入支援をすることでスムーズに活用できています。

建設現場の変革 ひいては建設業界を変えていきたい

MCDP:今後、取り組んでいきたいことを教えてください。

関西支店 建築部 建築施工グループ 工務チーム 浦島健チーム長(左)と神宿様

浦島:元請会社として建設現場の働き方改革を進めているのは、建設業界を変革したいという思いがあるからです。建設業界は、作っていく過程や完成したときの達成感もありますし、モノづくりが好きな人にとって魅力的な業界です。ですが、拘束時間の長さや業務量の多さなど魅力を阻害する要因も現実としてあります。私や神宿さんは、現場を経験していたからこそ、その苦労を経験したからこそ、魅力を知っているからこそ、建設現場の職員の思いをくみ取りながら働き方を変えていくことができると考えています。そのために、建設現場の職員が能力を最大限発揮しつつ、働きやすい環境をどうやったらつくっていけるか日々模索しています。その足掛かりのひとつがグリーンサイトの導入と言えると思います。そこから今の工務センターという新たな働き方や仕組みが構築できたと考えています。

企業情報

社名 前田建設工業株式会社
URL https://www.maeda.co.jp/
事業内容 国内外土木建築工事その他建設工事全般の請負、企画、測量、設計、施工、監理及びコンサルティング、地域開発、都市開発、海洋開発、資源開発、環境整備に関する事業、コンピューターによる情報処理並びにソフトウェアの開発及び販売など
所在地 東京都千代田区富士見二丁目10番2号
設立 1919年
資本金 284億6334万9309円(2023年4月現在)

株式会社MCデータプラスは、サービスとデータの活用による建設業界全体の業務改善・効率化をご支援していきます。