導入事例
全現場に導入!元請・協力会社ともに労務安全書類業務を効率化
西松建設株式会社様
- グリーンサイト
- cacicar for 建設
- ペーパーレス
- 業務効率化
- 元請会社
西松建設株式会社
- 業界:総合建設業
- 従業員:1,001名~5,000名
西松建設株式会社は、2024年に創業150年を迎えた、道路やダムなどの公共施設の建設や都市再開発など日本の社会基盤整備を支える総合建設会社です。現場の働き方改革にもいち早く取り組み、その一環として2009年より安全書類作成サービス「グリーンサイト」を導入。現在はすべての現場で活用いただいています。また、2023年に現場・ワークスタイル・ビジネスそれぞれにデジタルの観点から貢献する「西松DXビジョン」を策定し、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。
今回は、グリーンサイトの導入を主導した安全環境本部 安全部長の石堂基様にお話を伺いました。
お話を伺った方:
安全環境本部 安全部長 石堂 基様
(取材時期:2023年12月)
作業間安全書類の二重運用が協力会社の事務負担に
MCデータプラス(以下、「MCDP」):グリーンサイト導入前の課題を教えてください。
石堂様(以下、「石堂」):労務安全書類の運用は、元請会社である当社と協力会社、双方にとって課題がありました。
当社は、労務安全書類や施工体制台帳を一次協力会社から紙で提出してもらっていました。建築現場の場合、1現場あたり平均で70社程度の協力会社が関わるため、提出書類やその保管ファイルの数が膨大になり、運用上複数の課題がありました。
- 協力会社との紙書類のやり取りに手間がかかる
- 紙書類の提出漏れや記入漏れのチェックに手間がかかる
- 協力会社から書類がタイムリーに提出されない
- 紙書類の保管スペースを確保する必要がある
- 膨大な紙書類の中から資格保有者などの作業員を探すのに手間がかかる
このような課題があり、グリーンサイトの導入前は、店社による毎月の災害防止協議会や安全パトロールの際に、複数の社員が手分けをして書類に不備がないことを確認していたものです。
一方、当社に書類を提出する協力会社からも課題を聞いていました。
- 元請会社によって書式が異なるため、各社の書式に揃えて記入することに手間がかかる
- 現場ごとに必要な書類を作成して届け出ることに手間がかかる
- 作業員の追加や資格情報に変更があるたびに書類を更新する際の負担が大きい
このように、協力会社も紙の運用に苦労していました。
社会保険加入率が容易に確認できることが、全現場への導入を後押し
MCDP:グリーンサイトを導入した決め手を教えてください。
石堂:過去にグリーンサイトの紹介を受けていた担当者が、自身が管理する関東にある支店の一部建築現場で試験的に導入し運用してみました。その結果、当社は主に紙書類のやり取りの手間の改善、協力会社は書類記入の手間の改善につながったため、その支店が管理する全現場での導入が決まりました。決め手になったのは、協力会社の理解をスムーズに得られたことです。すでに他の多くの元請会社がグリーンサイトを導入していたため、当社の協力会社もグリーンサイトを利用しているところが多かったのです。
さらに、2017年に一般社団法人日本建設業連合会が社会保険加入の指導と徹底を周知したことをきっかけに、当社では全現場でグリーンサイトの導入を決定しました。というのも、全ての協力会社の社会保険の加入率が簡単に確認できると想定されたからです。
元請企業・協力会社、双方に数々のメリット
MCDP:グリーンサイト導入後の効果を教えてください。
石堂:元請会社・協力会社双方にとって効果がありました。
元請会社にとっての効果から説明します。まず、現場での労務安全書類の作成・管理業務の軽減です。必要な情報を入力するだけで労務安全書類や施工体制台帳がすぐに作成でき、それぞれを手作業で作成しなくてもよくなりました。また、サーバー上でデータを管理するため、現場や保管庫で書類のファイルを管理するスペースが不要になりました。
次に、労務安全書類の確認業務の軽減です。グリーンサイトの「お知らせ&警告機能」により情報の入力不備や資格の期限切れの有無がわかるようになり、書類の差し戻しが減りました。また、協力会社が作業員情報を更新すると自動で各書類に反映されるので、当社は最新情報の確認と各書類への反映の手間を省くことができるようになりました。
資格保有者などの作業者に関する情報の検索性が高まったことも、業務軽減につながっています。
こういったグリーンサイトの導入による業務効率化によって、安全環境本部では安全パトロールにより多くの時間を充てることができるようになりました。グリーンサイトの機能を活用することで現場訪問の前に書類のチェックを済ませることができるようになり、1日1か所だった訪問が2か所回れるようになりました。また、現場訪問の時間が削減できた分を他の業務に充てることができ、現場からの相談などに対して今まで以上にスピーディに対応できるようになりました。
協力会社からも導入の効果があると聞いています。
まず、労務安全書類の作成業務の省力化です。一度登録した事業者情報は関連する帳票に自動で転記されるため、同じことを何度も入力する必要がありません。
次に、労務安全書類の正確性の向上です。「お知らせ&警告機能」で資格・免許・健康診断などの各種情報で入力不備や更新が必要な箇所が容易に把握できるためです。 インターネット上ですぐに修正・提出ができるので、書類提出のために現場まで出向く必要がない点もいいですね
協力会社からは、「労務安全書類、施工体制台帳の業務に費やす時間が大幅に削減された」「最初のデータ入力は大変だったが、一度グリーンサイトに慣れてしまうと以前のような紙ベースの提出は面倒で戻れない」という声もありました。
他にも数々の役に立つ機能があり、よく利用しています。
たとえば「プロジェクト掲示板」は、協力会社への安全・衛生に関する指導、労災かくし予防の伝達や、災害防止協議会の出欠票の提出・必要資料の添付など、コミュニケーションツールとして活用しています。
また、入退場管理時に作業員の外国人就労承認状況・在留期限・年少者・高齢者などを簡単にチェックできる「スマートリーダー for グリーンサイト」や、グリーンサイトの「一括指導」機能を活用したCCUS(建設キャリアアップシステム)未登録者や労災特別加入制度の未加入者などへの指導メールの送付はかなり頻繁に使っています。
加入促進活動で協力会社の加入は実質100%に
MCDP:グリーンサイトの導入で工夫されたことを教えてください。
石堂:当社でグリーンサイトを導入したからには少しでも多くの協力会社に使ってもらいたいと考えました。そこで、労務安全書類の様式を当社独自のものから一般社団法人全国建設業協会が定めた統一様式に切り替えて、その様式に則したグリーンサイトの書式をそのまま使えるようにしました。
導入当初は、協力会社が集まる安全大会などの場でグリーンサイトの加入をお願いしましたし、操作方法が分からない担当者向けには操作マニュアルを準備して対応しました。ある程度導入が進むと、協力会社から「早くプロジェクトを立ち上げてほしい」といった声が現場に届くようになりました。地道な加入促進活動により、協力会社の加入割合は84%※に達しています。この数字は現時点で当社の現場に入っていない協力会社も含まれているので、実質はほぼ100%に達しています。
※2020年時点。建設業許可取得企業に限る。代行登録企業含む。
グリーンサイトに蓄積したデータを分析して、労働者不足問題の対策案を講じたい
MCDP:今後取り組んでいきたいことについて教えてください。
石堂:グリーンサイトを利用する中で集積した様々なデータは、建設サイト・シリーズの基本サービス「cacicar for 建設」を使って集計・分析しています。例えば、CCUSの毎月の登録状況の確認、施工現場に従事する方々の請負形態や年代の分布、社会保険加入率調査などです。当社の経営層はこれらのデータに注目しており、建設業界の労働力不足への対策に活用する予定です。さらには、施工現場のDXにも活用していきたいですね。
企業情報
社名 | 西松建設株式会社 |
URL | https://www.nishimatsu.co.jp |
事業内容 | 建設事業、開発事業、不動産事業 ほか |
所在地 | 東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー |
創業 | 1874年 |
資本金 | 23,513,643,819円(2023年3月末現在) |