導入事例

「もうやめられない」という協力会社からの声も――「グリーンサイト」で実現した現場DX

伊藤忠アーバンコミュニティ様

  • グリーンサイト
  • ペーパーレス
  • 業務効率化
  • 元請会社

伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社
 

伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社

  • 業界:総合不動産業
  • 従業員:1,001名~5,000名

伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社は、分譲・賃貸マンションやオフィスビル、商業・公共施設などを管理運営する総合不動産管理・運営会社です。同社では、労務安全書類のデジタル化を中心に、現場に従事する人達がより働きやすい環境づくりに励んでいます。

建設サイト・シリーズの「グリーンサイト」を2023年から活用しており、協力会社を含めた法令遵守のレベルが向上し、安全パトロールの達成率も改善するなど、全社的な安全品質の向上を実現しています。今回は、取り組みを主導したエンジニアリンググループの皆様にお話を伺いました。

お話を伺った方:
取締役 上席執行役員 エンジニアリンググループ長 古高 雅則様
エンジニアリンググループ 安全品質管理室長 倉橋 英人様
エンジニアリンググループ 安全品質管理室主任 近藤 徹哉様
エンジニアリンググループ 安全品質管理室 池田 めぐみ様
(取材時期:2025年11月、上記および本文中の役職は取材当時のものとなります)

紙運用による膨大な工数と、法改正への対応不安

エムシーディースリー(以下、「MCD3」)グリーンサイト導入前の課題を教えてください。

近藤様(以下、「近藤」):当社が抱えていた最大の課題は、労務安全書類の作成と提出、確認と保管に関する膨大な業務負荷でした。従来の紙ベースでの運用では、新規入場者教育調書など、外国人労働者を含む作業員に、慣れない日本語で多くの項目を記載してもらう必要があり、その結果、記載に時間がかかる上に、記載内容のチェックや在留カードとの照らし合わせにも多大な時間を要していました。
さらに、労務安全書類の確認業務は、ベテランと若手など担当者の経験値によって判断基準や精度に差が生じやすく、その分の確認作業の手間が膨大になります。加えて、書類には個人情報が多く含まれるため、管理面でのリスクも高い状況でした。

エンジニアリンググループ 安全品質管理室主任 近藤徹哉様

池田様(以下、「池田」):特に、現場に行かなければ確認できない書類もあり、西日本エリアの現場は出張時にまとめて確認せざるを得ない状況でした。書類の確認に1現場あたり約2時間かけており、工事責任者は、労務安全書類の整備状況の確認に追われることで、本来の安全パトロールや現場管理に十分な時間を割けませんでした。資格や健康診断の期限、法律の改定に伴う帳票の更新を常に手作業で行う必要があり、更新作業も大きな負担でした。

協力会社の負担軽減と、高いセキュリティが導入の決め手に

MCD3:グリーンサイトを導入した決め手を教えてください。

近藤:協力会社を含めた「みんなの業務を効率化し、無駄をなくしたい」という思いから、導入プロジェクトがスタートし、システムの調査をはじめ、社内IT部門、労働基準監督署等関係各所との協議に加えて、協力会社へのヒアリングやアンケートなどを実施しました。建設サイト・シリーズ以外にもいくつかツールを選定し、展示会などにも出向いてPC画面上での操作デモンストレーションを試してみたりもしました。

倉橋様(以下、「倉橋」):導入効果を明確にするため、コスト削減・効率化のシミュレーションを行い、社内稟議に活用しました。その際に経営層には、我々が目指す安全書類業務の精度を上げるための施策としてデジタル化が必須であると説明しました。

近藤:上記の費用対効果に加えて、協力会社へのアンケート結果は有効でした。安全管理システムの利用経験があると回答した協力会社のうち、利用経験のあるシステムを聞いたところ、ほぼ全員がグリーンサイトと答えていたのです(図1)。
また、協力会社は一度作業員の情報を登録すれば他の物件でも自動で反映されるので、同じ書類を何度も作成・提出する負担が大幅に軽減されます。協力会社の利便性の高さも、導入の大きな後押しとなりました。

倉橋:加えて、当社内のIT部門によるセキュリティチェックでは、「グリーンサイト」が最も安全なツールとの結果が出ました。これが決定的な後押しとなりました。協力会社の認知率とセキュリティの高さから最終的に導入を決定しました。

 

  • 図1

協力会社の安全管理システム利用経験の有無とグリーンサイトの認知状況

協力会社へのアンケート結果の一部。安全管理システムの利用経験者(回答者のうち41%)に使用しているシステムを聞いたところ、ほぼグリーンサイトという結果になった。
※伊藤忠アーバンコミュニティの提供資料を基に弊社にて作成

直感的にわかるマニュアルを作成し、説明会なども実施。
地道なサポートが奏功

MCD3:グリーンサイトの導入で工夫されたことを教えてください。

近藤:導入に際しては、工事担当者用と事務担当者用のマニュアルを作成しました。「誰が見てもすぐに始められるように1クリックごとの操作画面がわかる」ことを重視して作成するなど、社内展開がスムーズに進むよう工夫しました。

池田:当社では中途入社の有資格者などベテラン社員(50代~60代)が多く、紙中心の業務に慣れていたため、操作に慣れてもらうには丁寧なサポートが必要でした。そこで「今さら聞けないグリーンサイト講座」と題して1対1でレクチャーを行い、操作のポイントを明確に伝える工夫をしました。西日本支社では会議室でログイン画面から実際に操作するハンズオン研修も実施しました。
新しい仕組みに対する抵抗もあると思ったので、「これを使えば書類作業が減る」「別の現場でも使える」といった具体的なメリットを示しながら、理解を促しました。最初は紙と併用した現場もありますし、地道な取り組みの積み重ねが、少しずつ定着につながりました。

エンジニアリンググループ 安全品質管理室 池田めぐみ様

現場を強くするDX。
遠隔での進捗管理から協力会社の意識改革まで

MCD3:グリーンサイト導入後の効果を教えてください。

近藤:導入前の試算では、労務安全書類に関する各工程で省力・効率化が進むことで、全体で90%超の業務時間を削減でき、書類の枚数も約88%削減されペーパーレス化を促進できると見込んでいました。現状、物件ごとの工事期間や入場作業員数等の状況が違うので、正確な定量数値を算出することは困難ですが、この値に匹敵する大きな削減効果が得られたと手応えを感じています。

池田:クラウド上で最新情報を共有できるようになったので、現場に行かずとも是正対応の確認や進捗管理ができます。西日本など遠隔地の現場でも事前に是正依頼や修正確認ができるようになり、とても便利です。

近藤:単なる書類のデジタル化に留まらず、全社的な安全品質も向上したと思います。試験導入後に行った結果報告会や協力会社へのフィードバック研修では 、グリーンサイト運用後の安全パトロールの達成率が向上したことを共有しました。

倉橋:書類を確認する工数が減ったことで、現場確認により時間を割けるようになったことが大きいですね。

近藤:システムによる自動チェックと期限切れアラート機能によって、安全書類の提出精度が向上したことに加えて、安全関連の情報周知についても一元管理するようになったことで、法令改訂や熱中症対策等、注意して見てほしい案内を重点的に周知できるようになりました。従来はメールで行っていましたが、「お知らせ管理」の機能を使って優先順位をつけながら一斉に周知することで、情報の抜け漏れが減りました。

エンジニアリンググループ 安全品質管理室長 倉橋 英人様(中央)

近藤:協力会社からは「初めは大変だったが、提出が楽になった」「もうやめられない」といった声が挙がるなど、現場にも一歩ずつ着実に浸透してきています。また、大規模修繕工事現場(足場設置を伴う外壁全体の修繕工事)だけでなく、小規模の修繕工事での活用希望も出ています。法令遵守意識の高い企業ほど、グリーンサイトの活用メリットは大きく、今後も建設現場の生産性と安全性の向上に向けたDXを推進していくつもりです。

グリーンサイトが拓く新しい働き方と現場の安心

MCD3:今後取り組んでいきたいことについて教えてください。

池田:たとえば育休明けや子育て中の社員でも、在宅で安全書類の確認ができるようになれば働き方の選択肢が広がります。労務安全書類は、万が一現場で事故が起きた際に全て確認される非常に重要な書類です。現場のパトロールと並行して確認・管理するのは大きな負担ですが、グリーンサイトを活用してデジタル化や分業化を進めることで、女性をはじめ多様な人材が活躍できる環境づくりにもつながるといいなと思っています。

古高様:業界を俯瞰してみると、社会資産の老朽化が進み、これまでのように新しく作るといった、「スクラップ&ビルド」な発想から長期活用の時代に移り変わりつつあります。私たちが管理する建物も、改修を前提にした運営が中心になっていくでしょう。そうした中で、グリーンサイトのように効率化と省力化を支えるツールの価値はさらに高まります。
また、マンションの大規模修繕現場では、関わる人達の数も多くなり、誰が現場に入っているのか分かりづらいという一面があります。海外の方を含め、さまざまな作業員が関わる今だからこそ、グリーンサイトの「通門管理機能」などを活用して「顔と名前が見える化」されることが、現場の安全や居住者の安心感にもつながるのではないかと思っています。 建設業界全体が働き方改革を求められる中で、当社としてもDXを通じて社員や協力会社がより働きやすい環境を整え、次世代の人材が前向きにこの業界を選び続けられるよう取り組んでいきたいと考えています。

取締役 上席執行役員 エンジニアリンググループ長 古高雅則様

企業情報

社名伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社
URLhttps://www.itc-uc.co.jp/
事業内容マンション管理事業
プロパティマネジメント事業
ビルマネジメント事業
レジデンシャル運営事業
リニューアル工事事業
所在地東京都中央区日本橋大伝馬町1番4号
創業1974年6月
資本金3億1千万円