導入事例

創業100年企業が挑むDX―― 労務安全書類業務を8割削減した「グリーンサイト」活用

田中組様

  • グリーンサイト
  • ペーパーレス
  • 業務効率化
  • 元請会社


株式会社田中組
  

株式会社田中組

  • 業界:総合建設業
  • 従業員:101名~500名

創業100年を超え、北海道の建設業界を牽引する株式会社田中組は、全社的なDX推進の一環として2018年に「グリーンサイト」を導入しました。導入前は膨大な紙の労務安全書類の管理が、現場担当者の大きな負担となっていました。

同社は土木・建築の両部門でデジタル化を推進し、協力会社への丁寧な働きかけを通じて、現在では主要現場で運用が進みます。業務時間の劇的な削減だけでなく、若手の採用活動や現場の業務効率化にも寄与している同社の取り組みについて、DX推進室の皆様にお話を伺いました。

お話を伺った方:
建築本部 建築部 部長 兼DX推進室 村松 学様
土木本部 土木技術部 技術支援課 兼DX推進室 髙橋 佑介様(写真右)
建築本部 建築技術部 技術支援課 石井 伶奈様
建築本部 建築技術部 技術支援課 加藤 瑞樹様(写真左)
(取材時期:2025年12月、上記および本文中の役職は取材当時のものとなります)
 

全社DXで業務時間の削減へ

エムシーディースリー株式会社(以下、「MCD3」):DX推進室の立ち上げ経緯を含め、貴社のDX推進についての取り組みや考え方を教えてください。

髙橋様(以下、「髙橋」):当社のDXは、まず土木部門からスタートしました。公共工事分野では、国を中心にICT活用を推進する流れが強まっており、「総合評価落札方式」では、ICT活用やDX推進に向けた取り組みが加点対象となるケースも多く、iPadの導入やクラウド化による電子化を先行して進めてきました。

しかし、DXは一部門だけで完結するものではありません。2025年度からは全社的な「DX推進室」へと組織を拡充し、建築部門とも連携しながら会社全体の変革を目指しています。 最大のゴールは「業務時間の削減」です。建設業界全体が抱える長時間労働という課題に対し、現状の業務をデジタルへ置き換えることで、まずは第一段階として確実な効率化を積み上げていきたいと考えています。

※総合評価落札方式:公共工事などの入札方式の一つ。価格のみで落札者を決定するのではなく、価格とあわせて技術力、施工体制、ICT活用などの技術提案や企業の取り組みを総合的に評価し、技術と価格の両面から最も優れた提案をした者を落札者とする方式を指す。(国土交通省:公共工事発注にあたっての総合評価落札方式活用ガイド

土木本部 土木技術部 技術支援課(兼DX推進室) 髙橋 佑介様

MCD3:グリーンサイトは、2018年からご活用いただいています。導入を検討するきっかけについて教えてください。

村松様(以下、「村松」):以前、ジョイントベンチャー(JV)方式の工事で協力企業として参加した現場で、当社より配属された社員からグリーンサイトを知りました。協力会社が持参する紙の安全書類がデジタル化され、健康診断や車検証などの情報がタイムリーに更新されていく様子を見て、これは当社のペーパーレス化にも大きく寄与すると確信しました。

当時は他のツールも検討しましたが、大手ゼネコンをはじめとする圧倒的なシェアと、一度登録すれば他社現場でも登録情報を活用できるという利便性を重視し、「まずは導入してみよう」と建築部門の一部の現場からスタートしました。ただ、当初は協力会社の加入率もさほど高くはありませんでした。

最初は低かった道内での協力会社加入率。
協力会社と築く定着運用

MCD3:道内の協力会社の加入率はどのように上げていったのでしょうか。導入にあたり工夫したポイントなどがあれば教えてください。

村松:導入当初は、道内でも地域によってデジタル化への温度差がありました。そこで協力会社の会などを通じて、グリーンサイトを導入するとどのようなメリットがあるのかを丁寧に説明しました。例えば他社の現場において紙での提出が必要な場合でも、グリーンサイトの登録情報を印刷すれば済みます。都度エクセルで書類を作成する手間が省けることなどを説明しました。

その時に特に大切にしたのは、当社の独りよがりにならないことです。操作に不慣れな方には、グリーンサイトのヘルプデスクの活用を勧めたり、外部主催のグリーンサイト説明会への参加を促したりと、個別にフォローを続けました。

MCD3:実際に加入比率はどのぐらいになりましたか?

村松:現在では、道央(札幌管轄)の1次協力会社はほぼ100%加入しています。導入当初は、協力会社の退職者情報が適切に更新されていないことで、別会社での登録ができないケースも見られました。ただ、運用が定着するにつれてデータ管理のルールが現場に浸透し、現在はそうした事象も落ち着いています。むしろ、一度データの入力さえ済ませれば現場ごとに書類を差し替える手間がなくなる、というラクさを実感してもらっている状況です。

労務安全書類業務にかかる時間が8割削減。
採用へのプラス効果も

MCD3:実際に導入してみて、日々の業務の中で感じている効果はいかがでしょうか。

石井様:前職では紙の書類を運用していましたが、その時も書類の管理や保管場所は課題の一つでしたし、当時期限切れの書類に関する再提出を促すために1枚ずつチェックするのは大変な労力でした。
グリーンサイトでは有効期限が近づくとアラートが出るため、チェック業務が劇的に減りました。現場の若手社員の感覚では、安全書類に関わる業務時間が8割ほど削減された実感があります。

また、建設系の専門の学校を卒業していなくても、書類業務なら建設サイト・シリーズのようなシステムによって取り組みやすく、現場の作業員の方々を支えられていると思えることもメリットだと感じています。

加藤様:私が入社した時にはすでにグリーンサイトが導入されていましたが、紙の書類を使っていた頃に比べたらデジタル化によって管理は楽になっていると思います。大量の書類保管スペースも不要ですし、作業員名簿から特定の名前を検索するのも一瞬です。

一方で、当社にとって重要な協力会社さんでまだ加入いただいていない方もおられます。そうした方々はデジタルが得意ではない場合もあるので、そこのサポートもしながら加入率を上げていきたいと考えています。

建築本部 建築技術部 技術支援課 加藤 瑞樹様

MCD3:デジタル化が採用にも良い影響を与えていると伺いました。今後の展望を含めて教えてください。

村松:グリーンサイト上に集まる膨大なデータを活用したサービス展開を期待しています。特にKY関連などは課題も多いので、ビッグデータを使った新しいサービスが出てくると良いと思っています。

髙橋:採用面では、iPadやiPhone、そしてグリーンサイトのようなシステムを使いこなしている姿勢そのものが、学生へのアピール材料になっています。DXによって生まれた時間で「物を作る喜び」をより深く感じてもらえる環境を整えていきたいです。それが、次世代の人材がこの業界を選び続けてくれることにつながると思いながらDXを推進しています。

企業情報

社名株式会社田中組
URLhttps://www.tanakagumi.co.jp/
事業内容建築・土木その他建設工事の設計施工
建築工事に関する調査・企画等エンジニアリング、マネージメント、コンサルティング業務
不動産の売買・管理・運用・賃貸
地域開発・都市開発等の事業、およびこれらに関するエンジニアリング、マネージメント、コンサルティング業務
所在地北海道札幌市中央区北6条西17丁目17番地の5
創業1902年
資本金3億5,000万円(2025年12月末現在)